香りの散歩道


菊の節供

墨絵・朝野泰昌
街にも野山にも、香り高い菊の花が咲く季節になりました。
今週の土曜日、9月9日は、「菊の節供」とも呼ばれる「重陽の節供」ですね。

平安時代の宮中ではすでに、不老長寿のシンボルとしてもてはやされていた菊の花。
もともと日本に自生していた花ではありませんが、江戸時代になると品種改良され、日本独自に発展しました。

優れた園芸の技術によって、さまざまな品種の菊が生まれ、庶民にも愛されるようになったのです。
このような植物は「古典園芸植物」と呼ばれ、観賞用に栽培された朝顔や花菖蒲なども人気を集めました。

イギリスやベルギーにも、日本の古典園芸植物のような花があります。
17世紀から19世紀にかけて、フローリストと呼ばれた園芸愛好家たちが栽培していた花です。

これらは「フローリスツ・フラワー」と呼ばれ、カーネーションやチューリップ、ヒヤシンスなど、今でも愛されている花ばかり。
そして、日本から伝わった菊の花も含まれています。

鑑賞用の菊をヨーロッパに紹介したのは、江戸時代の終わりに来日したイギリスの植物学者です。
彼は、世界中を飛びまわって珍しい植物を探し出す、プラントハンターでもありました。

それぞれの土地で、さらに品種改良された菊は、ヨーロッパの園芸文化を彩る花になったのです。
この秋は、世界中で愛されている、菊の香りを楽しんでみませんか。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



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